これが結露の原因です
「結露の原理」
結露といえば窓ガラスやビールを注いだコップにつく水滴が思い出されます。いつの間にかどこからか水が湧き上がってきたようで不思議な気になりますが、空気中の水蒸気が冷えたガラスの面にぶつかってエネルギーを失い、同じ様な沢山の仲間がくっつきはじめて、段々水滴として大きくなったものです。
しかし、この水滴にまた熱を与えると再び蒸発してもとの水蒸気に戻っていきます。水(液体)はエネルギーを与えるとガス状の水蒸気になりますし(気体)、エネルギーをどんどん奪っていくと氷(固体)になってしまします。こうした変化を相変化といい、これらの変化はエネルギー(熱)の変化で起こるものです。でも、こうした説明では結露の現象をよく理解することができません。では、分かりやすい説明を以下に試みてみましょう。
空気中には水分が含まれていますが、空気のもてる水の量は温度によって変化します。
空気の粒をバケツに例えれば、温度が高ければ膨張してバケツは大きくなり、温度が下がるとバケツは小さくなって水を少ししかもてなくなります。
今、20℃湿度60%の空気(図1)が何らかの要因で冷やされて12.2℃になってしまうと空気のバケツは小さくなって、今まで入っていた水の量をもつのが精一杯になります。この状態が飽和状態(図2)で、湿度は100%。更に冷やされると当然バケツは小さくなった分、水をこぼしてしまうことになりますがこれが結露です(図3)。
つまり、結露というのは空気を冷やされなければ絶対に起こらないし、また空気中に含まれる水の量が少なければ起こりにくくなります。今日の住宅で窓ガラスが結露するのは、ガラスが一枚しかないために冷えているのと、室内で開放型ストーブのように水分を大量に放出する暖房機具を使ったりするからです。
さて、防露対策とは「冷やさないことと水分を減少する」ということですが、日本では冷やさないという概念をもたずに、水分を減らすということで進んできました。だから、住宅の高気密化によって換気量が減少したことが主因だと決め付けてきたのです。しかし、隙間の多い家でも結露は減るどころか、益々拡大して、その結果としてカビやダニを繁殖させています。
図4は家の中で結露が発生している様子です。
図4
断熱性も気密性も中途半端な状態で、部分的な暖房(個別暖房)しかできない状態にある日本の住宅では、居間やダイニングだけ暖房して他の部屋は冷え込んでいるといった状況が起こります。その暖房している部屋の熱は廊下という断熱材で遮られているのに、水蒸気だけは大変細かな粒子なので非暖房室にまで流れて、冷えた壁にぶつかって結露してしまいます。
よく、箪笥の裏側や押入にカビが発生するというのもこの理屈と一緒で、タンスや布団が断熱材となって裏側の壁を冷やしているところに、水蒸気が回っていって結露してしまうのです。特に押入の中の布団は人間が一晩に発生するコップ一杯分の水蒸気を吸い込んでいるので、湿気は豊富です。
タンスを移動すると元の位置で結露はなくなりますが、また移動後のタンスの裏側で結露が始まります。要するに暖かい部分と冷えた部分がつくられれば結露の危険がでてくるというわけですが、部屋単位でいえば、間仕切れば間仕切るほど結露は起こりやすくなります。
図5
もちろん、日本人がこれまで発想してきた室内の水蒸気量を減らそうという行為も正論なのですが、そのためには隙間風を多くしなければならず、かえって部屋を冷やして暖房空間を狭くすることを助長したり、部分的に冷えた状態をつくることによって、結露と乾燥のいたちごっこになってしまうのです。今日のように多くの住宅が結露を招いている状態というのはこうした中途半端な断熱と気密化が原因なのです。
家の中の間仕切り壁を全部なくして、家全体に暖房熱を配ることが防露の最も有効な手段です。でも、家全体に熱を配るとすれば、大変な暖房費が予想されます。そこで求められるのが断熱・気密性を高めることで、よく使われる高断熱・高気密という言葉の意味は「今まで個別暖房していた燃費のままで、家全体を暖めてしまう」ための性能をいうのであって、その断熱性能レベルは寒冷の度合によって変化していくものです。『小さな熱で全室暖房』・・・これが結露のない健康住宅の基本であり、高断熱・高気密化の目的なのです。
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